ハイスペ上司の好きなひと



そんな微妙な気持ちのまま月日が過ぎ、暑さが少しずつ引いて秋を迎えたとある土曜日。

その日は休日だと言うのに飛鳥は毎度お馴染みのファストファッションの上下とも黒のシャツとイージーパンツではなく、きっちりとしたスーツを身に纏っていた。

聞くところによるとどうやら一ノ瀬の結婚式があるらしく、飛鳥も招待されたらしい。

部署も違うのにどうしてだろうと思って聞いてみたところ、支社への赴任時の一時帰国の際には何かと世話になり寝床を提供してもらったり飲みに連れていってもらったりしていたらしく、また新婦の方とも大学時代から面識があるとかで是非にと声をかけられたそうだ。

はっきりとは言わないが飛鳥がキューピットのような役目を担ったのだろうと想像を膨らませた。

そんな訳で紫は夕方からの式に参加する飛鳥を昼過ぎに見送り、自分も久しぶりに会う友人とカフェで落ち合っていた。




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