ハイスペ上司の好きなひと


大学時代付き合っていた彼氏とはお互いに気の強い性格もあって、就職で遠距離が決まってからは喧嘩が絶えなかった。

他の人がどんどん就活に成功する中自分だけなかなか就職先が決まらず焦っていた時にようやく決まった会社で、それこそ遠距離になるから辞退しろだなんて受け入れられなかった。

結局就職してから1、2回ほど会っただけで、次第に向こうも冷めてしまったのだろう、ほぼ自然消滅に近い形で別れが決まった。


「今は貯金が無いから考えられないけど、もう少し余裕が出てきたら婚活も考えたいなって思っただけだよ」


そう言って微笑んで見せれば、ふーんと真由菜の間延びした返事が返ってきた。


「じゃあその貯金の問題を抜きにして、今気になってる人は?」
「やけに食いつくね」
「だって紫の会社は有名だし年収も良いし、紫が上手く誰か捕まえてくれたらおこぼれもらえるかもって思って」
「真由菜の素直過ぎるところ、私は好きだよ」



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