ハイスペ上司の好きなひと


そうしてかつて眠れないと悩んでいた部屋で熟睡をかましていたのだが、ドン!という物音で紫の目が覚めた。


「う…やっぱりダメか…」


けれど微かに言い争う声は聞こえるが、大きな物音は目を覚ました時の一回きりだ。

まあこれくらいならばギリギリ許容範囲だと時計を見れば、どうやら3時間近く眠っていたらしい。

グッと腕を天へと伸ばし寝不足の解消された体を起こして隣がヒートアップする前に帰ってしまおうと片付けを始めたその時だった。

何かが壊れる破壊音が聞こえたかと思いきや、あり得ない場所からドンドンと叩く音がした。


「!?ひっ…」


音のする方では見知らぬ女が凄い形相でベランダの窓を叩いている。

短い悲鳴を漏らして腰を抜かし、紫はパニックになりながらも女を凝視するしか出来なかった。



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