ハイスペ上司の好きなひと
当然の反応を返され苦笑した。
改めてラファエルから話を聞くと、そういうことかと飛鳥は納得してみせた。
そしてそのまま視線をこちらは向けてくる。
「すぐに駅に向かうけど準備はできてるか?」
「はい、もう出られます」
よし、と頷き部屋を出る飛鳥の背中を追いかけ、ラファエルに見送られながら紫は事務所を後にした。
事前に席は予約してくれていたらしく、電車に乗り込んで2時間弱の電車旅を終えて目的の地へ到着した。
当然目的は仕事なので取引のあるワインショップとパティスリーを順に訪れて打ち合わせをし、当然ながら紫は会話についていくので精一杯だったが、それでもとても勉強になったと同行を許可してくれた上司達に感謝した。
「飛鳥さん、連れてきていただいてありがとうございます」
更に言うならば、自分の作った資料がこうして活用されているのだと実際に見れたことで改善点なども見つけられた。
どうなる事かと心配していた今回の初の出張だったが、大変ではあったけどそれと同じくらい得るものもあってとても充実した1週間だった。