ハイスペ上司の好きなひと
「テンションの高い古賀を見るのは初めてだな」
「そうですか?」
「いつもきっちり上司と部下って線引いてる気がする」
「それは…まあ、色々と頭が上がらない立場ですし…」
「友人の前だとそんな感じなのか?」
「そんな、とは?」
「そうだな…笑顔が可愛いってやつかな」
「は…?」
思わず拍子抜けし過ぎてプレッツェルを落としそうになってしまった。
可愛い?可愛いって言ったのか今この人は?
言葉の意味を理解した途端に熱が顔に集中し、口をパクパクさせながら飛鳥を見上げた。
「あ、悪い。これセクハラか?」
「いい、いえ!び、ビックリしただけです!…あの飛鳥さんからそんな言葉が出るなんてって…」
「あのって何だよ」
眉を下げながら言う飛鳥に、紫は言葉を選びながら言う。
「飛鳥さん…いつもどんなに綺麗な女性から言い寄られても興味無さそうにしてるので…その……」
その先は言い淀んでしまった。
何となく言いたいことを察したのだろう、かと言って気を悪くした様子も無く飛鳥は言った。
「俺もいい加減、早く忘れないととは思ってるんだけどな」
「えっ…と…、それを私に話していいんですか?」
「古賀は無神経に人の事情に首突っ込んできたりしないだろ」
「……」