ハイスペ上司の好きなひと
そう言われて商品を覗き込むが、どれも甲乙つけ難い程に可愛い。
「俺は女性の好むものには疎いからな。古賀がいいなと思うものを教えてくれ」
「あ…」
その言葉に微かに胸の痛みが生まれた。
おそらく飛鳥は想い人である"しらかわ"という女性への贈り物を選ぼうとしているのだろう。
そう思うと酷く辛かったが、ここで下手なものを選ぶのも己のプライドが許さない。
紫は店の商品をぐるりと見渡し、あるものを指差した。
「参考になるかは分かりませんが…私はスノードームが可愛いと思います」
見ていて癒されますしと付け加えると、飛鳥はそうかといって迷わずサンタとトナカイの入ったスノードームを手に取って購入した。
商品を受け取ると、どこか満足げな顔をした飛鳥が「俺はこれだけで良い」と言った。
「後はグルメでも楽しむよ」
「そう…ですね」
ぎこちない笑顔を返し、モヤモヤとしながら残りの屋台を見て回る。
紫も紫でお気に入りを見つけて手に入れられていたのでそれ以上の物欲はあまり沸かず、少し早いがクレベール広場の方へ移動することになった。