ハイスペ上司の好きなひと
そして1週間の出張も無事に終了し、出国前にラファエル達支社の面々に挨拶と御礼を伝え、紫は飛鳥と共に帰国した。
あちらに足を踏み入れた時はそれほど辛くは感じなかった時差ボケも、祖国へ帰ってきた事と大役を終えた事で気が抜けたのだろう、家に着いた頃には眠気と疲労が限界で今すぐにでも布団に潜り込みたい気持ちでいっぱいだった。
共に飛鳥の自宅に入り、先に自室へ向かう飛鳥を見送ってのろい動きでスーツケースを拭き上げていると不意に名前が呼ばれた。
「?はい、なんでしょう」
廊下の奥から手招きをされて首を傾げながら向かえば、見覚えのある包みが手渡された。
「え?」
それはまさかの、クリスマスマーケットで飛鳥が購入したあのスノードームだった。