ハイスペ上司の好きなひと
紫自身久しく風邪を引いていないので何が必要か分からずスマホで検索をかけながらスーパーへ向かい、スポドリとゼリー、アイスなど体力が無くても食べられそうな物を入れていく。
ドラッグストアでは念のため冷えピタと氷枕を購入した。
明日少しでも熱が下がって病院へ行けるようになればいいのだが、と思いながら帰宅すると物音ひとつせず飛鳥が眠っているようで安心した。
素人看護では病気は寝て治す以外方法は知らない。
少し時間を置いて食べられるかは分からないがお粥は用意しておこうと思い、その間できるだけ音を立てないよう共有スペースの掃除をする。
ついでに観葉植物の土の乾燥具合も確認し、霧吹きで葉に水を簡単に与えておいた。
物が少ないお陰でそれほど手間をかけずに掃除を終え、乾燥機に入れていた自身の洗濯物を取り出して片付けておく。
そろそろいい頃合いかと思い鍋に火をかけ米からお粥を用意していると、飛鳥がお手洗いの為に目を覚ましてきた。
そしてトイレに行き直ぐに戻ってきた飛鳥を呼び止め、火を止めて冷凍庫から氷枕を取り出した。
「呼び止めてすみません。これ買ってきたので使ってください」
「氷枕か…懐かしいな」
「あと少し失礼しますね」
冷えピタの透明シートを剥がし、背伸びをしてペシッと勢いよく額に貼れば飛鳥が短い声を上げて身じろいだ。