ぼっち姫と英雄
 
 ギルドで買い取り騒動が起きたという話は王城まで聞こえて来ていた。しかも、買い取り騒動を起こしたのが、あの冷月だということだった。その噂を聞いた第1王女であるクリスティア・デューク・シュタインはギルドに対して、その冒険者の詳細を教えて欲しいと伝えたところ冒険者ギルドは教えることが出来ないと返事をして来たのである。

 「やっぱり教えてはもらえないですか?」

 「当然ですよ、冒険者ギルドが自分の所の戦力でもある冒険者の個人情報を教える訳ないじゃないですか!」

 「この国の冒険者ではない事はわかっているのです。それでも聞きたかった理由はローブで顔を隠しているのに冒険者証だけで我が国に入国出来たこと自体が疑問でもあるのです」

 「そういえば、入国の際に何もこちらに報告は上がって来ていませんでしたね?」

 「問題はそこのなのよ、どうしてローブで顔を隠してるような人物が冒険者証だけで入国出来たのか不思議でならないわね!Aランク以上なら入国の際冒険者証だけで入国出来るようにギルドが決めているからわかるけど、件の冒険者はCランク冒険者よね?」

 「姫様、1つだけ例外が御座います。お忘れでしょうか?」

 「例外?そんなものあったかしら?」

 「ありますよ、件の冒険者が公爵以上の護衛として入国手続きをされた場合身分証だけで入れます!」

 「それはおかしいわね、ここ最近公爵以上が入国したという知らせはなかったはずだけど?それはどう説明するつもりなのかしら?」

 「そうでもないわよ!お忍びで何名か他国の要人が入国したのを確認してるわ」

 「私、報告受けて無いんだけど?どういうことかしら?」

 「わざわざ、お忍びで来ているのに王族に挨拶出来るとでも思っているの?」

 クリスティア・デューク・シュタインの相手をしているのは護衛と侍女を兼任しているイズミという女性だった。 


 
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