彩度beige
(それにきっと・・・、周りの人たちも)


一葉くんはいわゆる御曹司なのだから、ご両親だけではなくて、他の親族の反対だってあるかもしれない。

瀧澤さんは・・・、まだ、彼との関係性はわからないけど、近しい位置で、彼を支える大事な人であることは間違いないって思ってる。

その瀧澤さんにもあまりよく思われていない気がするし、及河さんも・・・同じように思っているかもしれない。


ーーー私がそばにいることで、一葉くんの邪魔になる。


考えると、それはとても怖いことだった。

私と一緒にいることで、一葉くんの未来が・・・可能性が狭まってしまったら。

才能も、容姿も家柄も、あんなに恵まれている人なのに。

いろんなものを沢山持っている人なのに、私が、それを奪ってしまったらーーー・・・。

ーーー以前、敦也と結婚していた当時のことを思い出す。

敦也から言われた言葉。その時の自分の気持ち。

振り返るとーーー、私は、「経営者の妻」という立場には、あまり向いていないんじゃないかと思う。

何も持ってない自分。無意識に、夫に対して感じる引け目。

あんなに稼いでいる夫がいたのに、いつまでも、普通っぽさも抜けなくて・・・。

金銭感覚。

時間の感覚。

今まで生きてきた人生観。

才能。プライド。

周りにいる人たちも・・・。

私とは・・・、きっと色々違う。


(一葉くんも・・・、今は感じていなくても、これから関係が深まれば深まるほどに、その違いを感じていくのかも・・・)


優しい彼は、その違いを埋めようと、私の方へと歩み寄ってくれるかもしれない。

だけどそれは、スペックの高い彼が「普通」の私に合わせることになるわけで。

彼が持っている能力が、使われないまま宙に浮いては消えていく。

綺麗なシャボン玉の泡たちが、パチンとはじけて消えてなくなるかのように。

「・・・・・・」


(・・・、そんなことはさせられない・・・)


一葉くんの未来を想うなら、私はーーー、自分から身を引いた方がいいんじゃないか。

彼のことは、もちろんとても好きだけど・・・。

だからこそ、自分から身を引くべきなのかもしれないと、私は、考えずにはいられなかった。











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