彩度beige
「で、仕事って何時に終わる?」

「・・・、あ・・・、ど、どうだったかな。今日は土曜日だから、残業するかもしれないし・・・」

2人きりで話をするのは避けたくて、いつも通りに答えをはぐらかしてしまった。

けれど、「いいよ。どっか近くで待ってるから、仕事終わったら連絡して」と言われてしまう。

「・・・でも、それは申し訳ないし」

「いいよ。話せないより全然いい」

「・・・・・・」

これは・・・、断り切れないかもしれない。

緋山くんと2人きりになるのは避けたいけれど、かといって、このまま避け続けて解決することでもないと思った。


(・・・・・・)


再会してから今までの、緋山くんの言葉や態度を思い出す。

ーーー緋山くんは、私に好意を持ってくれている。

それをはぐらかして逃げ続けるということは、不誠実だとも感じるし、話が拗れてしまう可能性も高いと思った。

緋山くんは、仕事上の今後の関係性とかはあまり気にしないタイプのように思うから、このままいくと、直接、一葉くんに話をしに行くかもしれない。

それはーーー、やっぱり避けたい。

一葉くんには、これ以上迷惑をかけたくないと思った。

「・・・わかった。じゃあ、終わったら連絡するよ。16時以降になるとは思うけど・・・」

「了解。適当に時間潰してるから、焦らなくてもいいからな」

「・・・うん」

「じゃなー」と言って、緋山くんが笑顔でお店を後にした。

緋山くんの気遣いに、胸がチクリと痛む。

時計を見ると、14時を少し回ったところ。

ーーーあと2時間・・・。

できるなら、いつもよりゆっくり時間が過ぎてくれますように。

どうしても、そんなことを考えてしまうのだった。






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