彩度beige
私のパン屋のパートのシフトは、月火木金、8:30〜16:30までとなっている。

臨時で土日に働くこともあるけれど、基本的にはこの曜日、この時間。

ーーーあの後、一葉さんからすぐに取材依頼の連絡が来て、私は水曜か土曜か日曜日なら、いつでも大丈夫だとメールを返した。

すると、早速次の水曜の午後に会おうとなった。

場所は、「the reticle(ザ レチクル)」というホテルの中にあるカフェで。

ここは、雰囲気が良く、落ち着いていて、テーブルとテーブルの距離も離れているから、隣を気にせずゆっくり話せるだろうということで、一葉さんが選んで予約をしてくれた。



そしてーーー、あっという間に数日が過ぎ、その、約束をした水曜日。

14:30まであと15分。

私は、待ち合わせ場所へと向かっていた。


(えっと、『the reticle』、『the reticle』・・・、あ、あった!あそこだ)


指定されたホテルがあったのは、街なかの、一等地。

外観から、すでに高級感が漂っている。

本当にここでいいんだよね・・・?と、私は何度もスマホを確認。


(『the reticle』・・・、うん、ここで合ってる・・・)


場所を確認する際に、ホテルのHPも一応覗いてきたけれど、実物は想像以上に高級感が漂うホテルだ。

女優やモデルのインタビューではないのだし、こんなホテルのカフェじゃなく、チェーン店のコーヒーショップでいいのでは・・・。

と、そんなふうにも思ったけれど、一葉さんには一葉さんの、こだわりがきっとあるのだろう。

・・・コーヒー1杯いくらかな。

そんなことを考えて、ドキドキしながら、ホテルのエントランスをくぐって中へと入り、エレベーターで2階に上がった。

広い廊下の左側。約束のカフェに向かって歩いて行くと、入り口に、黒いジャケットにデニムを合わせた、ラフな姿の一葉さんが立っていた。


(わ、わー・・・!)


先日会った時も思ったけれど、改めて、一葉さんはかっこいいなあと思う。

夜と昼では、雰囲気がまただいぶ違うし・・・。

スーツも似合っていたけれど、こういう私服もよく似合う。

近くを通る女性たちも、チラチラと一葉さんに視線を向けている。

背は高いし、髪は銀だし、なにより顔が整ってるし・・・、黙っていても、かなり目立つ容姿だもんね・・・。
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