彩度beige
「・・・あ、あの・・・、なにか・・・?」

「・・・、いや・・・・・・、オレと同い年だったんで。大人になってから、同い年の人ってあんまり出会わなかったから」


(・・・あ、なるほど・・・)


確かに、学生時代は周りに同い年が何十人、何百人といる環境だったけど、社会人になると同期ぐらいになるもんね。

小説家という職業ならば、同い年の人と会うなんて、余計にめずらしいことかもしれない。

「真美・・・、この前の飲み会で、一葉さんの前に座ってた子も同い年ですよ。大学が同じだったんです」

「ああ・・・、そうなんですね。・・・そっか、同い年・・・」

そう言うと、一葉さんは何かを考え込むように、少しの間口を噤んだ。

私が首を傾げると、彼は、整った真顔をこちらに向けた。

「じゃあ、お互い敬語はやめようか」

「えっ」

「その方が話しやすいし」


(・・・そ、そう言われると・・・)


「・・・ま、まあ・・・、そうで・・・・・・、そう、だね・・・」

急に敬語をやめるのは、どうにも心が落ち着かなかった。

けれど、一葉さんから提案されて、「やめよう」と言われて拒否をするのも、どうかと思って同意した。

「じゃあ改めて。続き聞いていい?」

「は・・・、う、うん、どうぞっ」

一葉さん・・・一葉くんはすんなりと、「同い年」モードに移行していた。

どちらかというと、人に対する壁が厚いタイプだと思っていたけど、実はそうでもないのかな。 

でも、そっか、同い年・・・。

同じくらいかなとは思っていたけど、いざ、本当に同じ年なんだと思うとちょっと不思議な感覚がする。
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