彩度beige
「知りたくなったら、なんでも聞いてくれて平気だよ。その・・・、相手がいるし、なんでもかんでも言えるわけではないけれど」

「・・・わかった。じゃあ、その時は聞かせてもらうけど・・・、とりあえず、水谷さんのことがもっと知りたい」

言われて私は、思わず運転席の彼を見た。

感情が読めない横顔。

ーーー私は取材対象だ。

一葉くんにとって、必要なことを得なければならない相手。

だからただ、単純に、「情報」として私のことを深く知りたいだけだろう。


(・・・でも、ちょっとドキッとしてしまう・・・)


イケメンというのは罪深い。

仕事でも、取材でも、「知りたい」なんて言われると、ドキドキせずにはいられないから。

「あ、でも・・・、今日で私のことは結構話したと思うんだけど、知りたいことってあとはなにかな」

「色々あるよ。好きなもの、好きなこと、好きな場所・・・、水谷さんのことは、なんでも知りたいと思ってる」

「・・・っ」


(だ、だから・・・!)


そういうふうに言われると、意識しそうになるじゃない。

一葉くんって、いつもこういう感じなのかな・・・。

「な、なんでもって・・・、なにから言おう」

「ああ・・・、いや、今日はもう大丈夫。今度また日を改めて教えてくれる?」

「うん・・・、それはいいけど・・・」

「今度は水谷さんの好きな店を教えてほしい。好きな雑貨屋、一緒に行ってみたいから」

「・・・え!?」

一葉くんと私の好きな雑貨屋に?

それは、なんというか・・・・・・、いいのだろうか・・・。

「・・・あ、あの・・・、どちらかというと、シンプルでおしゃれな店ではなくて、わりとファンシーなお店なんだけど・・・」

「へえ・・・、そうなんだ。普段行かないから楽しみだな」


(!?)


ドン引きされるかと思ったけれど。

ますます興味を持たれてる・・・。

「じゃあ、また水谷さんの都合のいい日を後で教えて」

「う、うん。連絡するね」

「待ってる」

言いながら、一葉くんは微笑んだ。

本当に、とても楽しみに待ってくれているかのように。









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