彩度beige
そしてその後・・・、私がホテルのカフェで一葉くんから取材を受けた日の夜に、真美から再び連絡がきた。

それは、「松澤さんに一葉くんのことを聞いてみた!」という内容の連絡だったのだけど・・・。

「それがさー・・・、松澤さん、なんにも教えてくれないの!小説以外の仕事のこととか、お家のこととか聞いたんだけど・・・、『なんかおもしろそうだから、僕からはなにも言わないことにする』とか言い出して!なんにも教えてくれないの!!・・・あー、合コンの日に、もっと聞いておくべきだったなあ」

・・・と、いうことだった。

「とりあえず、身元は僕が保証する、いいヤツなのは間違いないって、松澤さんから返事はもらったんだけど・・・。今のところ、怪しいとことか何もない?」

「うん。優しいし話しやすいし・・・、でも、口が上手いっていうわけではなくてね。いい人だっていうのは私もわかるよ」

それに・・・、と、かなりの額の取材報酬をいただいたことも話しておいた。

ーーーあの日・・・、ホテルのカフェで取材を受けて、家まで送ってもらった別れ際、一葉くんは「今日の分」と言って、私に取材報酬を渡してくれた。

妙に分厚いような・・・と思いつつ、封筒の中を後で確認してみると、約3時間分の取材報酬とは思えないほどの金額が入っていたので、私はとても驚いた。

そのため、「さすがに受け取れない」と連絡をしたのだけれど、「相場とか知らないよね?」「受け取ってくれないと次に頼みづらいから」と言われてしまい、どうしようかと悩んだ挙げ句、今回は・・・、と、ありがたくいただくことにした。


(確かに取材の相場なんて私はわからないけれど・・・、あの金額が、相場より高いだろうってことはさすがにわかる・・・)


ついでに高級車に乗っていたこと、そもそも取材場所が高級ホテルのカフェだったことも伝えると、真美はとても驚いていた。

「は!?『the reticle』って・・・、去年できたばっかのすごい高級ホテルじゃん!そこのカフェで取材って」

「だ、だよね。私はあまり知らなかったんだけど」

「結構な高級ホテルだよ。何者なの?一葉くん。小説家以外の仕事って・・・、あのルックスだからホストとか?動画配信者で実はかなり人気で稼いでたりとかするのかなあ・・・。実家がそもそもお金持ちって可能性もあるけどさ」

「うん・・・、謎なんだよね。とりあえず、隙間時間にバイトしてるって感じはしないけど・・・」

本当に、一葉くんは執筆以外に何をしている人なのだろう。

次に会ったら聞いてみようか。

だけど、今まで言わないでいるのは何か理由があるかもしれないし、松澤さんが内緒にしたのに、そこから踏み込んで聞くというのも抵抗がある。


(・・・とりあえず、もう少し仲良くなって・・・、聞けそうだったら本人に直接聞いてみようか・・・)


一葉くんに関しては、まだ、わからないことだらけ。

だけど、怖いとか不安とか、怪しいって思う気持ちは不思議なくらいに全くなくて。

知りたいって興味はもちろん出るけれど、これから徐々に、知ることができればいいなと思った。












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