彩度beige
一葉くんとの次の約束は、来週のまた水曜日。

私は土日も休みだし、一葉くんもいつでもいいと言ってくれたけど、街に出るなら、やはり平日が空いていていいと思った。

リクエストされていた通り、今日は、私のお気に入りの雑貨屋さんを見て回る。

一番のお気に入りは東通りの「Lynx」だけど、他にも何軒か好きなお店が近くにあるので、ついでに紹介しようと考えていた。


(ランチも私がよく行くお店に行きたいって言われたし・・・、とにかく私の『好き』を知りたいみたいなんだよね)


一葉くんが望んでいるからいいのだろうと思うけど。

自分の趣味に付き合ってもらうことにもなるわけで・・・、恥ずかしさと、ちょっと申し訳ない気持ちもあった。




東通りは、石河町の駅から徒歩10分くらいの場所にある。

なので、一葉くんとは石河町駅の南側の改札口で待ち合わせ。

車も提案されたけど、普段の私を知りたいって希望があったから、私のいつも通り・・・電車で行って、最寄りの駅で待ち合わせ、そこから徒歩で移動をすることに。

一葉くんにとっては、どういう形であっても今日は仕事に繋がるのだと思うから、当然デートなんかじゃないわけだけど・・・、キラキラとしたイケメンの一葉くんと2人で出かけるんだと想像すると、やっぱり緊張してしまう。

私は散々悩んだ挙句、一番のお気に入りの服を着用してきた。


(白いリネンのワンピース・・・。去年、初めてのパート代で買った服なんだ)


一見するととてもシンプルなのだけど、タックがあったり、袖の形が変わっていたりと、とてもかわいい形をしている。

1枚でもさまになるのだけれど、今日は下に黒いデニムを履いてきた。

これだけだと少し肌寒いような感じもしたので、グレーのカーディガンも上に羽織った。

このコーディネートなら、雑貨屋さん巡りにも合っているんじゃないかと思う。


(・・・あっ、一葉くん)


改札口の外から駅の中を覗いていると、周りから頭ひとつ分だけ飛び抜けた、銀髪の綺麗な男性が。

私を見つけて目が合うと、一葉くんは少し笑って会釈する。


(う・・・)


やっぱり今日もかっこいい。

一葉くんに対して特別な感情はなにもないけれど、その顔で、そういうふうに笑いかけられてしまったら、どうしても、胸がドキドキしてしまう。

「こ、こんにちは」

「こんにちは。天気良くてよかったね」

「う、うん。だね!」

「じゃあ、今日は全部任せて悪いけど。よろしくお願いします」

「こちらこそ・・・」

一葉くんは、黒いフードの付いたジャケットに、細めのデニムを合わせていた。

前回よりも、さらにラフな格好だ。
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