彩度beige
「一葉くんの髪、綺麗だよね。すごくいい色」

「え?・・・ああ・・・、ありがとう・・・」

「金じゃなくて銀なんだよね。なにかこだわりとかあるの?」

金か銀かで比べたら、一般的には銀色よりも、金色の髪に染めている人が多いと思う。

だから、ちょっとした興味であって、何気なく聞いたことだった。

けれど、あまりいい質問ではなかったのか・・・、一葉くんは頬を赤くして、視線を逸らし、言いにくそうな顔をする。

「・・・笑うと思う」

「えっ、いや、笑わないよ」

絶対なんて言えないけれど、好きな髪色にする理由はそれぞれあっていいと思った。

だから、理由を聞いて、笑うようなことはない。

・・・少しの沈黙。

私が首を傾げると、一葉くんは額をかいて、迷いながらも話し出す。

「・・・好きなアニメのキャラが銀髪で」


(おっ!)


「その・・・、アニメが舞台化されて、そのキャラを演じてた役者の銀髪が、すごくかっこよかったから」


(そうなんだ・・・!!)


言った後、一葉くんはますます頬を赤くした。

穏やかだけど、いつも淡々としている印象だから、こんな一葉くんは初めて目にしたかもしれない。

「いいね。なんていうアニメのキャラ?」

「・・・いや。絶対似てないって言われるし。いい年して中二病っぽい感じだし」

「え、いいと思うけど。一葉くんだって、好きなものに年齢関係ないって言ってたじゃん」

「・・・それはまあ・・・、人に対しては素直にそう思うんだけど・・・。自分に対しては、そうは思えない時があるっていうか。『これ真似た』とか、人に言うのは恥ずかしい」

そう言うと、一葉くんは、右の手の甲で真っ赤な顔を隠すような仕草をとった。

銀髪はとても似合っているし、アニメのキャラや役者さんに憧れるのは、恥ずかしくはないと思うのだけど・・・、本人はとても恥ずかしそうにしてるので、これ以上、今は聞かない方がいいかもしれない。

「・・・わかった。じゃあ・・・、もう少し仲良くなったら教えてもらおう」

「いや、無理。これだけは絶対言わない」

「言わなきゃよかった・・・」と、項垂れている一葉くん。

耳まで赤い。

その様子はやはり新鮮で、ちょっとかわいいなって思ったことは、私も内緒にしておこう。













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