彩度beige
電車を下りると、すでに一葉くんは待ち合わせ場所の改札口に立っていた。

これから登山やハイキングをするのであろう、リュックを背負った団体客や家族連れも何組かいて、小さい駅の改札ながら、思っていたよりも混んでいた。

一葉くんに目をやると、ちょうど視線が合ったので、小さく手を振ってから駆け寄った。

一葉くんは、パーカーにデニムという、前回よりもさらにラフな格好だ。

「おはよう。早いね、一葉くん」

「うん。これ、売り切れる前に買いたかったから」

そう言うと、一葉くんは持っているビニール袋を少し持ち上げた。

透けている中身を確認し、私は「あっ」と小さく声をもらした。

「一葉くんが言ってたお弁当?買っておいてくれたんだ」

「日によってだけど、売り切れる時は早いから」

今日のお昼は、山の上の広場で食べようと提案されていた。

お弁当持参がいいかどうかを尋ねると、一葉くんおすすめのお弁当が駅に売っているとのことだったので、それを買おうと話していたのだ。

「ありがとう。私より家遠いのに・・・、朝早かったでしょ」

「大丈夫。朝早いのは慣れてるから。それに、売り切れてたらショックだし」

淡々と、真顔で告げる一葉くん。

話は聞いているけれど・・・、本当に、すごくおいしいお弁当なのであろう予想ができた。

「ふふ、お昼楽しみ」

「うん。期待は裏切らないと思う」

リュックの中に、お茶もレジャーシートも入れてきた。

お弁当も揃ったし、これで準備は万端だ。

ーーー久しぶりの山登り。どんな景色が見れるかな。

天気は一日晴れ予報。

今日は、とてもいい日になりそうだった。
















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