彩度beige
レジャーシートを大きく広げて、一葉くんが買っておいてくれたお弁当を2人で頬張った。

おにぎり3つとから揚げと、きれいな焼き目のついた玉子焼き。

定番なラインナップのお弁当。

地元のお惣菜屋さんの手作りで、梅と鮭、おかかの3つのおにぎりは、ひとつひとつ丁寧にラップに包まれていて、手作り感がいいなと思った。

「・・・うん、おいしい!」

から揚げも、玉子焼きもおにぎりもどれも優しくておいしい味だった。

早めに売り切れる、という一葉くんの言葉に納得だ。

一葉くんは、くすっと笑う。

「たまにサンドイッチも売ってる時があるんだけど。それもうまいよ」

「そうなんだ。今度はそれも食べてみたいな」
 
「うん」

何気ない私の呟きに、一葉くんは頷いた。

もう一度、一緒にここに来るかはわからないけど、実現するかしないかは、今はどうでもいいと思った。


(・・・ふー・・・、気持ちいい・・・・・・)


山の上。

おいしいごはんとおいしい空気。

絶景と。

一葉くんと一緒にいられるこの時が、贅沢で、嬉しくて、ドキドキするけど心地いい。

ゆっくりとお弁当を食べ終えて、お茶を飲んでひと息つくと、それから上を向いて空を見た。

「・・・きれいな青空・・・」

そんな言葉が、自然と口から零れ出る。

それくらい、とてもきれいな青空だった。

ーーーしばらく2人で空を見上げる。

と、一葉くんは、何かに気づいたかのように、「あ」と私の首元に目を留めた。

「ネックレス、付けてくれてるんだ」

前回、雑貨屋の「Lynx」を訪れた時、一葉くんが買ってくれたネックレス。

王冠を被った猫のチャームは、今の私には勇気がいるデザインだけど、とはいえやっぱりかわいいし、見てもらいたい気持ちももちろんあって、約束通りに付けてきた。

一葉くんに首元を見つめられ、自然と頬が熱くなる。

「・・・山登りには、合わないかと思ったんだけど」

「そう?そうしないと服に隠れてるからあんまりわからないけど。似合ってるし、かわいいよ」

淡々と、そんな感想を言ってくるから。

私の頬は、ますます熱くなってくる。

「・・・あの時もらったぬいぐるみも・・・、部屋に飾ってるよ」

恥ずかしくて、話を少しだけ逸らしたかったのと、あの時贈ってもらったもの全て、大切にしているよってことを言いたくて。

伝えると、一葉くんは「そっか」と、嬉しそうな顔で笑った。

「あれだ、猫みたいなクマのやつ」

「え、クマみたいな猫ではなくて」
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