彩度beige
「ありがとう・・・、あのっ、どんな感じに」

「わりと王道なラブストーリーで考えてるよ。少女漫画っぽい展開の。水谷さん、そういうのが好きかと思って」

「っ、うん・・・!」

私は、一気に気持ちが明るくなった。

ハッピーエンドが約束された、少女漫画のような物語。

そうだったらいいなって、私が願っていたものだ。

「楽しみだな・・・」

「うん。水谷さんのことは段々わかってきたから・・・、好きそうな感じにはできると思う」


(・・・嬉しい)


私のことを理解しようとしてくれて、好みに合わせ、物語を考えてくれている。

それはとても嬉しいし、なんて贅沢なことだろう。

一葉くんは、私をどんなふうに書いてくれるのだろうか。

私はどんなキャラ設定になっているのか・・・、とても興味があったけど、まさに今、「一葉くんの目から見えている私」をばっちり知ることになるわけだから、それを聞くのは恥ずかしいとも感じるし、ここは完成してからのお楽しみにしようと思った。


(あ、でも。そういえば・・・)


「そうだ。一葉くんのペンネームってなんて言うのかな。内緒じゃないのなら、出ている本を一度読んでみたいと思ってて」

一葉くんは、私の物語が完成したら、世に出す前に読ませてくれると言っていた。

だから、ペンネームは内緒じゃないだろうというのが私の予想。

けれど、一葉くんは「それは・・・」と口ごもり、言うのをずいぶん躊躇っていた。


(・・・ん?言いたくないのかな・・・)


この雰囲気から察するに。

そうだとしたら、無理に聞くのはやめとこう。

「内緒ならいいの」

「・・・いや、内緒っていうか・・・」
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