彩度beige
それからしばらく、私たちの間には微妙な空気が流れていった。

ここに来たばかりの時とは、違う気持ちで空を見上げる。

ーーーけれど、空はやっぱりきれいなままだ。

雲が動いているだけで、美しい空の青さは変わらない。

空気も変わらずおいしいな。

すうっと息を吸い込んで、気持ちを落ち着かせるように、私は深く呼吸した。

と、私たちのレジャーシートのすぐ傍に、小さくて、かわいらしい2羽の青い鳥がやって来た。

私たちは、自然とそちらに目を向けた。

「・・・かわいい。すごくきれいな色してる」

「うん。鮮やかというか」

「ね」

青い鳥たちの出現で、私たちの間に自然な会話が生まれはじめた。

緊張していた微妙な空気が、徐々に優しくほぐれてく。

「めずらしい感じだけど・・・、見覚えがある気もするな」

「ほんと?かわいい鳥だね」

話しながら、私たちは、しばらくその鳥たちを観察していた。

仲良さそうな2羽の鳥。

夫婦かな。お友達同士かな。

かわいらしく、チョンチョン、と歩く姿は、見ていてとても微笑ましかった。

「・・・・・・」


(・・・うん・・・)


私と同じく、微笑ましそうに青い鳥を眺めている、一葉くんの横顔を見ながらふと思う。

さっきのことはーーー、私は悲しくなったけど、別に、なにも悪いことじゃない。

私は彼を好きになったけど、一葉くんはそうじゃない。

だけど、嫌われているわけではなくて、「登場人物」「主人公」として、好きになってはくれているんだ。

それはむしろ、それこそ「特別」なのだと思う。

そんな感情、普通なら、抱かないものだと思うから。

だから・・・、悪いことじゃない。

今は、その「登場人物として好き」であり、「特別」だと思ってくれている、その事実だけを受け入れようと思った。





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