彩度beige
「・・・それで、この企画に参加してくれるクリエイターを、水谷さんに探してもらいたいんだ」

「・・・」


(え!?)


彼の言葉に、私は思考が止まってしまった。

この企画に参加してくれるクリエイターを・・・作家を私が探すって。

「そ、それは・・・、素人の私には難しいんじゃ」

だって、舞台は高級ホテルの「Vulpecula」。

私は確かに雑貨がとても好きだけど、ただ好きってだけでデザインなどの知識はないし、どちらかといえば、チープでかわいい雑貨が好きだ。

女の子向けのかわいいカフェをつくるため・・・とかならまだわかるけど、「Vulpecula」が求めるものに、私が応えられると思えない。

方向性が、絶対違う。

「大丈夫。オレも探すし、スタッフにも協力してもらうから」

「で、でも」

「懇意にしてくれてるお客さんに『目新しい』って喜んでもらいたいのもあるけれど、新しいお客さんを呼び込みたいって意図もある。水谷さんみたいな感覚の人にも興味を持ってほしいんだ。だから、水谷さんに協力してもらいたい」

「・・・・・・」


(・・・ま、全く自信がないのだけれども・・・)


好き、というだけで、こういう分野は私はまるで素人だ。

雑貨やインテリアの仕事に携わりたいとは思っていたけど、いきなり「Vulpecula」で、それを実行するなんて。

それに、私みたいな感覚で、って・・・、単なるお手伝いぐらいならいいけれど、クリエイターを・・・作家を探して決めるだなんて、かなり重要な仕事になるはずだ。


(私にできる?一葉くんやスタッフさんとも協力していくようだけど・・・)


未知の世界に不安が募る。

自分の知識やセンスにだって、「大丈夫!」っていう自信はないしーーーーー・・・。
< 56 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop