彩度beige
(・・・・・・、でも)


心のずっと奥底で、やってみたい、という感情が生まれていることにも気がついた。

ーーーやってみたい。

これは私にとって、ものすごく貴重な機会だと思う。

「Vulpecula」で雑貨やインテリアの仕事ができる、貴重なチャンスーーー・・・。


(・・・・・・)


「やりたい」と、返事をしてしまおうと思った。

だけど安請け合いをして、「Vulpecula」に・・・、一葉くんに迷惑をかけてしまったら・・・。

「・・・迷惑かけたらどうしようとか思ってる?」

「!」

一葉くんに心を読まれ、私は思わず彼を見た。

すると、一葉くんは平気だよっていうように、私に優しく微笑んだ。

「大丈夫。もし、なにかあってもオレが頼んだことだし迷惑だなんて思わない。それに、この企画を通していろんな水谷さんを見れるから、取材って意味でもお願いしたい。そうしたら、何をしても迷惑だとか失敗だって捉えることもないと思うし。気軽に受けてもらえたら・・・、オレも助かるし、すごく嬉しい」


(・・・・・・・・・)


一葉くんが、ここまで言ってくれている。

ここはもう・・・、一葉くんの好意を素直に受けよう、怖いけど、チャレンジしてみようって心を決めた。

「やりたい・・・です。迷惑かけるかもしれないけれど・・・、私でよければ、ぜひ・・・、よろしくお願いします・・・!」

ぺこっと頭を下げて顔を上げると、目が合った一葉くんは、ほっとしたような顔で笑った。

待ってたよ、というように。

「・・・ありがとう。こちらこそ、よろしくお願いします」












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