彩度beige
2 青とか黒とか
一葉くんーーー「黒月神アクア」について調べてみると、ライトノベル・・・いわゆるラノベ作家としてデビューして、デビュー後は、ファンタジー小説や学園ものの作品を数多く出版していた。

2作品ほどアニメ化もされているようなので、かなり人気があるみたい。

一般文芸の作品もいくつか出版されていたけれど、主軸はライトノベルの作品なので、世間的にはラノベ作家として認識されているようだ。


(想像以上にたくさん本を出してるし、アニメ化されている作品が2つもあるなんて・・・)


「黒月神アクア」の名前は知らなかったけど、アニメ化された小説の作品名は知っていた。

本当に・・・、一葉くんは、私が今、思っている以上にすごい人なんじゃないかと思う。


(小説を書くだけではなくて、『Vulpecula』の創業者一族で、そこの社長兼支配人でもあるんだもんね・・・)


・・・一方。

バツイチで、現在実家暮らしのパートの私。

敦也と結婚している時ならまだしも・・・、今の私が一葉くんと出会えたことは、それだけで、ものすごい奇跡のようなことだと思えてしまう。


(・・・そう。きっと、出会えただけで奇跡になるよね・・・)


ベッドにゴロンと転がって、本屋さんで購入していた「黒月神アクア」のデビュー作のページを開く。

魔法学校が舞台となったファンタジー。

わりと王道設定なのだけど、登場人物1人1人にとても個性があっておもしろい。

1ページ、もう1ページ・・・と、読み進めると、ページをめくる手が止まらなくなる。

・・・と、あっという間に第一章を読み終えたところで、リビングから笑い声が聞こえて私ははっと我に返った。


(そうだ。『Vulpecula』の企画書をもう一度読んでおこうかな・・・)


小説の続きを読みたい気持ちを我慢して、本の間にしおりを挟む。

よいしょ、と、ベッドから起きて机の前に移動して、すぐにノートパソコンを立ち上げた。

そして、一葉くんから送ってもらった企画書のファイルを開く。


『作家と暮らす非日常』


昨日送られてきた企画書だ。すでに何度かは目を通してる。

仕事でこうしてパソコンに向き合うことも久しぶり。

思わず、背筋をシャンとしたくなる。
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