彩度beige
企画書の内容は、簡単に要約するとこうだった。


ーーーホテルに泊まるということは、一般的に、非日常といわれるもので。

そして、「Vulpecula」が無名のクリエイター・・・作家さんに依頼して、いつもと違う空間を演出することは、「Vulpecula」としても非日常。

宿泊されるお客様には、クリエイターの作品を見て、触れて、実際に使ってもらって、暮らすように時間を過ごし、ホテルの滞在を楽しんでもらいたい。

その中で、お客様とクリエイター、作品とのいい出会いがあったなら、そのご縁を繋ぎたいーーー・・・。


企画書に書かれていた内容は、あの日、一葉くんが話していたこととほぼ同じだけれど、この業界に不慣れである私にもわかりやすいよう、読みやすいようにまとめられていた。

文章もとても丁寧で、写真やイメージ画もたくさん添付されている。


(企画書を見ると・・・、この部屋のイメージは、洗練された和空間っていう感じかな。伝統的な和のものと、今時っぽいおしゃれさが上手く共存している感じ・・・)


クリエイターにお願いするのは、部屋に飾る置物や、カップやグラス、寝具やタオル、浴衣のデザインなどなど・・・宿泊中に目にしたり、使うであろうたくさんのもの。

また、この和洋室では、朝・夕は部屋での食事になるそうなので、その際に使う食器類も、できるだけ作家さんにお願いしたいと考えているようだった。


(浴衣に食器・・・、色々な種類のものがあるわけだから、それぞれ違うクリエイター・・・作家さんに頼むんだよね)


・・・その作家さんたちを、私が探して決めるんだ。

考えれば考えるほど、ものすごく重要な役割なのだと実感してくる。

本当に、私に務まる仕事だろうか。

一葉くんやスタッフの方のサポートもあるとは言っていたけどーーー・・・。


(・・・ちゃんと、役に立てるかな・・・)


本来ならば、「Vulpecula」のスタッフや、インテリアのプロなどだけで進めていく話だと思う。

けれど、一葉くんはわざわざ私を誘ってくれた。

これは・・・、一葉くんが言っていた通り「私のような感覚の人」が必要なのかもしれないけれど、きっと、私が以前『インテリアや雑貨の仕事をしてみたい』って、話をしていたからだと思う。
< 59 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop