彩度beige
そんな時間が15分ほど続いた頃ーーー、ドアをノックする音がして、一葉くんがようやく部屋に現れた。

「すみません、遅くなりました・・・っ!」

だいぶ急いできたのだろうか。

ピシッと整えられていた、髪が少し乱れてる。

これはこれでかっこいいのだけれど・・・。

・・・なんて、心の中で思っていると。

「水谷さん、大丈夫だった?何かわからないところとか・・・」

一葉くんはすぐに私の元にやってきて、様子を確認してくれた。

その行動にちょっと驚きつつも、気にかけてくれて嬉しく思った。

「うん。さっき質問もさせてもらったし・・・、今のところは大丈夫だよ」

「そっか。じゃあ・・・、もし、何かあったらまたなんでも聞いてもらえたら」

「うん。ありがとう・・・」

と、一葉くんに返事をしていると、左右斜め前方から、じーっと、観察するような視線を感じた。

及河さんと、瀧澤さんのその視線。


(な、なんだろう。この視線・・・、やっぱり、絶対に何かをチェックされているような・・・)


もしかして、一葉くんとの恋人関係を疑われている?

それで、特別に仕事を紹介してもらったんじゃないかと思われたりしているのかな。


(私との関係を、小説家と『主人公』だと一葉くんが説明している感じはないし・・・)


でも、そうだとしても・・・、だからといって、私のたわいもなさすぎる情報をメモする必要性がわからない。

それに、もし恋人だろうと疑われているのなら、少なくとも、瀧澤さんは一葉くんの彼女ではないということ・・・?

・・・わからない。

2人の視線は、敵対視とか、攻撃的なものとはまた違う。

だけど絶対、私はなにかをチェックされている。

一体私は、何をチェックされているのだろうか。




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