彩度beige
「真美、いらっしゃい。今お昼?今日は遅いね」
真美は大学時代の友人で、私の貴重な独身仲間だ(真美に離婚歴はなし)。
現在は、主に賃貸を扱う不動産会社の営業をやっていて、毎日車であっちこっち移動している。
その移動の合間、ランチタイムにちょうどこの辺りを通りかかると、「スピカ」に寄ってくれるのだった。
「そー。今日は午前中の内覧に時間かかってさ。お腹ぺこぺこ」
「そっか。じゃあ、たくさん食べてって」
「だねー。どれにしよう」
真美は店内をうろうろ見て回り、大きめのエビカツサンドと、メロンパンとチョココロネ、そしてチーズパンをトレーに載せた。
身体はとてもスリムだけれど、真美は結構たくさん食べる。
レジに来ると、アイスコーヒーも追加で頼んだ。
「エビカツサンドは温める?」
「ううん。そのままでいいよ」
「了解。じゃあ、座って待っててね」
真美をイートインスペースに誘導すると、私はアイスコーヒーを準備して、大きめのお皿にパンを並べた。
それらを載せたトレーをイートインスペースへ運んでいくと、真美は、ひとつ空けた隣の席に座っている、中島さんと楽しそうに会話をしていた。
真美も中島さんも人懐っこい性格なので、お互いに話しやすいのかな。
「はい、お待ちどお」
「ありがとー。わー、嬉しい。相変わらずおいしそう!」
「ふふ、4つはなかなか豪華だよね」
「うん!いただきまーす」
「じゃあ、ごゆっくり」と、立ち去ろうとした私の腕を、真美は「ちょっと待った!」とガッシリ掴む。
驚いて、私はすぐに立ち止まる。
「な、なに?」
「衣緒、今日の夜って時間ある?」
「今日・・・、うん、仕事が終わればなにもないけど」
「よかった!じゃあ、ちょっと飲み会出てくれない?女の子、一人欠員出ちゃったの」
「飲み会・・・」
女の子が一人欠員・・・ということは、要するに合コンなのだろう。
真美が本日「スピカ」に来たのは、ランチ以外に私を飲み会に誘う理由もあったようだった。
(だけどなあ・・・、合コンなんて、あんまり気が進まない)
「ごめん」と即座に断ると、真美は、離さない!とばかりに私の両手をぎゅっと握った。
上目遣いの大きな瞳が私を見つめる。
「お願いだよう。今日はすごいよ!!男性全員経営者!しかも若手!!30代半ばまでで集めてるって」
「・・・」
うきうきと話す真美に対して、私の心は曇り空。
経営者、という肩書きに、私には、いやな免疫がついている。
「やだよ。全員経営者って・・・、真美、敦也のこと知ってるのに」
「まあまあそう言わないで。衣緒には敦也さんが合わなかったっていうだけでしょう?みんながみんな、敦也さんみたいなゴリゴリのセレブ志向じゃないはずよ!それこそ小規模でやってる人もいると思うし、庶民派も絶対いるはずだからっ」
「・・・・・・」
真美は大学時代の友人で、私の貴重な独身仲間だ(真美に離婚歴はなし)。
現在は、主に賃貸を扱う不動産会社の営業をやっていて、毎日車であっちこっち移動している。
その移動の合間、ランチタイムにちょうどこの辺りを通りかかると、「スピカ」に寄ってくれるのだった。
「そー。今日は午前中の内覧に時間かかってさ。お腹ぺこぺこ」
「そっか。じゃあ、たくさん食べてって」
「だねー。どれにしよう」
真美は店内をうろうろ見て回り、大きめのエビカツサンドと、メロンパンとチョココロネ、そしてチーズパンをトレーに載せた。
身体はとてもスリムだけれど、真美は結構たくさん食べる。
レジに来ると、アイスコーヒーも追加で頼んだ。
「エビカツサンドは温める?」
「ううん。そのままでいいよ」
「了解。じゃあ、座って待っててね」
真美をイートインスペースに誘導すると、私はアイスコーヒーを準備して、大きめのお皿にパンを並べた。
それらを載せたトレーをイートインスペースへ運んでいくと、真美は、ひとつ空けた隣の席に座っている、中島さんと楽しそうに会話をしていた。
真美も中島さんも人懐っこい性格なので、お互いに話しやすいのかな。
「はい、お待ちどお」
「ありがとー。わー、嬉しい。相変わらずおいしそう!」
「ふふ、4つはなかなか豪華だよね」
「うん!いただきまーす」
「じゃあ、ごゆっくり」と、立ち去ろうとした私の腕を、真美は「ちょっと待った!」とガッシリ掴む。
驚いて、私はすぐに立ち止まる。
「な、なに?」
「衣緒、今日の夜って時間ある?」
「今日・・・、うん、仕事が終わればなにもないけど」
「よかった!じゃあ、ちょっと飲み会出てくれない?女の子、一人欠員出ちゃったの」
「飲み会・・・」
女の子が一人欠員・・・ということは、要するに合コンなのだろう。
真美が本日「スピカ」に来たのは、ランチ以外に私を飲み会に誘う理由もあったようだった。
(だけどなあ・・・、合コンなんて、あんまり気が進まない)
「ごめん」と即座に断ると、真美は、離さない!とばかりに私の両手をぎゅっと握った。
上目遣いの大きな瞳が私を見つめる。
「お願いだよう。今日はすごいよ!!男性全員経営者!しかも若手!!30代半ばまでで集めてるって」
「・・・」
うきうきと話す真美に対して、私の心は曇り空。
経営者、という肩書きに、私には、いやな免疫がついている。
「やだよ。全員経営者って・・・、真美、敦也のこと知ってるのに」
「まあまあそう言わないで。衣緒には敦也さんが合わなかったっていうだけでしょう?みんながみんな、敦也さんみたいなゴリゴリのセレブ志向じゃないはずよ!それこそ小規模でやってる人もいると思うし、庶民派も絶対いるはずだからっ」
「・・・・・・」