彩度beige
真美的には励ましたつもりのようだけど、私の心は、「庶民派」という言葉にさらに大きなダメージが。
私は、ハイスぺな敦也と結婚しても、自分がセレブにはなれず、「普通」を脱せなかったことがトラウマだ。
「・・・ごめん、悪いけど。多分、話合わないし」
「なんで!話してみないとわからないじゃん」
「いや・・・、もうわかってる」
「わかってないって!今日の主催の人、めっちゃほんとにいい人だから!!すごい稼いでセレブだけども、めっちゃすっごいいい人だから!!」
真美は鼻息荒く熱弁を振るう。
私は、冷めた気持ちで遠い目をした。
「・・・敦也も最初はそうだった・・・」
「はあ!?もー!!それってたったの『サンプル1』でしょ?敦也さん以外と結婚したことないくせに!!」
「っ、ないよ!!でも、もうセレブとかハイスぺとか経営者とか、そういう上層階級っぽい男性イヤなの!!」
「はあ~っ!?なにそれ!!なにを贅沢言っちゃってんのよ〜!!!」
・・・と、真美とぎゃーぎゃー言い合っていると、隣から、「ふぉっふぉっふぉっ」と、楽しそうな中島さんの笑い声。
私と真美は、言い合いを止めて中島さんに目を向けた。
「衣緒ちゃん、せっかくだから行って来たら?最近元気になってきたんだし」
中島さんが、にこにこと笑いかけてきた。
常連の中島さんは、1年間の引きこもりを経て、私がここでパートを始めてからの、その後の変化を知っている。
「おっ!ナイスアシストおじいさま!!どうもありがとうございます!!」
そう言って、真美は中島さんに右の親指をグッと立てたポーズをとった。
中島さんも、にこにこしながら同じポーズを真美に返した。
「こういうお話がくるのも若いうちだよ。僕くらいになると、そういう話もないからねえ」
「・・・ま、まあ・・・、そうかもしれませんけれど・・・」
84歳の中島さんに言われると、頷くことしかできないけれど。
とはいえ私はバツイチで、まだ敦也のことも少しとはいえ引きずっていて、「合コンだ!」って、ウキウキできる心境でもない。
けれど真美は、ここぞとばかりに畳み掛けてくる。
「ほらっ、そうだよ衣緒!ここでまた彼氏見つけてさ、もう一度、共に幸せを掴みにいこうじゃないの!」
「うんうん、そうだぞ衣緒ちゃん。せっかくのお話なんだから、ありがたく受けたらいいんじゃないかなあ」
「・・・・・・でも・・・・・・」
と、私が曇った顔をしていると、中島さんが、「けほっ、けほっ」と、息苦しそうに咳き込んだ。
私は慌てて、中島さんの背中に手を添える。
「中島さん、大丈夫ですか?」
私は、ハイスぺな敦也と結婚しても、自分がセレブにはなれず、「普通」を脱せなかったことがトラウマだ。
「・・・ごめん、悪いけど。多分、話合わないし」
「なんで!話してみないとわからないじゃん」
「いや・・・、もうわかってる」
「わかってないって!今日の主催の人、めっちゃほんとにいい人だから!!すごい稼いでセレブだけども、めっちゃすっごいいい人だから!!」
真美は鼻息荒く熱弁を振るう。
私は、冷めた気持ちで遠い目をした。
「・・・敦也も最初はそうだった・・・」
「はあ!?もー!!それってたったの『サンプル1』でしょ?敦也さん以外と結婚したことないくせに!!」
「っ、ないよ!!でも、もうセレブとかハイスぺとか経営者とか、そういう上層階級っぽい男性イヤなの!!」
「はあ~っ!?なにそれ!!なにを贅沢言っちゃってんのよ〜!!!」
・・・と、真美とぎゃーぎゃー言い合っていると、隣から、「ふぉっふぉっふぉっ」と、楽しそうな中島さんの笑い声。
私と真美は、言い合いを止めて中島さんに目を向けた。
「衣緒ちゃん、せっかくだから行って来たら?最近元気になってきたんだし」
中島さんが、にこにこと笑いかけてきた。
常連の中島さんは、1年間の引きこもりを経て、私がここでパートを始めてからの、その後の変化を知っている。
「おっ!ナイスアシストおじいさま!!どうもありがとうございます!!」
そう言って、真美は中島さんに右の親指をグッと立てたポーズをとった。
中島さんも、にこにこしながら同じポーズを真美に返した。
「こういうお話がくるのも若いうちだよ。僕くらいになると、そういう話もないからねえ」
「・・・ま、まあ・・・、そうかもしれませんけれど・・・」
84歳の中島さんに言われると、頷くことしかできないけれど。
とはいえ私はバツイチで、まだ敦也のことも少しとはいえ引きずっていて、「合コンだ!」って、ウキウキできる心境でもない。
けれど真美は、ここぞとばかりに畳み掛けてくる。
「ほらっ、そうだよ衣緒!ここでまた彼氏見つけてさ、もう一度、共に幸せを掴みにいこうじゃないの!」
「うんうん、そうだぞ衣緒ちゃん。せっかくのお話なんだから、ありがたく受けたらいいんじゃないかなあ」
「・・・・・・でも・・・・・・」
と、私が曇った顔をしていると、中島さんが、「けほっ、けほっ」と、息苦しそうに咳き込んだ。
私は慌てて、中島さんの背中に手を添える。
「中島さん、大丈夫ですか?」