彩度beige
谷山さんが「どうぞ」と案内してくれたのは、真っ黒い大きな高級車。
一葉くんの車もかなりの高級車だったけど・・・、こちらは、さらにワンランク上の高級感で私は緊張してしまう。
「どうぞ、楽になさってください」
「は、はいっ!」
シートベルトをきっちり締めて、後部座席でガチガチになっている私に向けて、谷山さんは微笑んだ。
この車内では、どんなに喉が渇いても、絶対に何かを飲んだりできなそう。
万一こぼしてしまったら、私は顔面蒼白だ。
谷山さんは、出発前に再度行き先を私に確認してくれたけど、「駅構内にあるお店を見たいので」という理由を伝え、「Vulpecula」の最寄り駅までの送迎にしてもらうことにした。
駅構内・・・駅ナカにあるお店を見たいというのも嘘ではないし、なによりも、家まで送ってもらうのは、やっぱり気が引けてしまうから。
「・・・了解しました。では、出発いたしますね」
谷山さんがアクセルペダルを踏みこんで、ホテルのロータリーを出た。
一般道に出て、信号待ちをしていると、谷山さんがにこにこしながら私に話しかけてきた。
「水谷様は、玲央様とお付き合いをなさっているのですか」
「!?」
ミラー越し。
谷山さんはご機嫌だった。
私はとても驚いて、「ち、違います!!」と否定する。
「仕事でお世話になっているだけで・・・、ぜ、全然、そういう関係ではなくて」
「Vulpecula」の企画の仕事はもちろんのこと。
小説家と「主人公」という関係だって、当然仕事になるわけで。
だいぶ仲良くなれたと思っているし、一葉くんが私を「特別だ」って言ってくれてはいるけれど、当然、私は彼の恋人ではない。
「・・・そうなのですか?・・・いや、てっきり・・・、ああ・・・、ええと、私は『一葉家』のお抱え運転手のような立場なのですが、玲央様から女性を送迎するように頼まれたのは初めてでして」
ホクホクと、まるで、孫のことを語るような口調で話す谷山さん。
一葉くんが幼い頃から、彼のことをずっと見てきたのであろう雰囲気だった。
「もちろん、仕事関係でタクシーを手配することはあったようですが、わざわざ私に頼むのは、水谷様が初めてですね」
「・・・・・・」
「お抱え運転手」なる存在が身近にいない私には、いまいち、それがどういうことなのか、理解できない部分はあるけれど。
長年「一葉家」に仕えてきたのであろう谷山さんに送迎を頼むということは、やっぱり・・・、特別なのかもしれない、という感覚はした。
一葉くんの車もかなりの高級車だったけど・・・、こちらは、さらにワンランク上の高級感で私は緊張してしまう。
「どうぞ、楽になさってください」
「は、はいっ!」
シートベルトをきっちり締めて、後部座席でガチガチになっている私に向けて、谷山さんは微笑んだ。
この車内では、どんなに喉が渇いても、絶対に何かを飲んだりできなそう。
万一こぼしてしまったら、私は顔面蒼白だ。
谷山さんは、出発前に再度行き先を私に確認してくれたけど、「駅構内にあるお店を見たいので」という理由を伝え、「Vulpecula」の最寄り駅までの送迎にしてもらうことにした。
駅構内・・・駅ナカにあるお店を見たいというのも嘘ではないし、なによりも、家まで送ってもらうのは、やっぱり気が引けてしまうから。
「・・・了解しました。では、出発いたしますね」
谷山さんがアクセルペダルを踏みこんで、ホテルのロータリーを出た。
一般道に出て、信号待ちをしていると、谷山さんがにこにこしながら私に話しかけてきた。
「水谷様は、玲央様とお付き合いをなさっているのですか」
「!?」
ミラー越し。
谷山さんはご機嫌だった。
私はとても驚いて、「ち、違います!!」と否定する。
「仕事でお世話になっているだけで・・・、ぜ、全然、そういう関係ではなくて」
「Vulpecula」の企画の仕事はもちろんのこと。
小説家と「主人公」という関係だって、当然仕事になるわけで。
だいぶ仲良くなれたと思っているし、一葉くんが私を「特別だ」って言ってくれてはいるけれど、当然、私は彼の恋人ではない。
「・・・そうなのですか?・・・いや、てっきり・・・、ああ・・・、ええと、私は『一葉家』のお抱え運転手のような立場なのですが、玲央様から女性を送迎するように頼まれたのは初めてでして」
ホクホクと、まるで、孫のことを語るような口調で話す谷山さん。
一葉くんが幼い頃から、彼のことをずっと見てきたのであろう雰囲気だった。
「もちろん、仕事関係でタクシーを手配することはあったようですが、わざわざ私に頼むのは、水谷様が初めてですね」
「・・・・・・」
「お抱え運転手」なる存在が身近にいない私には、いまいち、それがどういうことなのか、理解できない部分はあるけれど。
長年「一葉家」に仕えてきたのであろう谷山さんに送迎を頼むということは、やっぱり・・・、特別なのかもしれない、という感覚はした。