彩度beige
「俺が作った花瓶を・・・ですか」

「はい。普段作っているものとは傾向がまた違うと思うので、大変だとは思うんですが・・・、お願いできますか」

「・・・・・・」

戸惑いながらも、緋山くんは興奮しているようだった。

「うまくできるかわからないけど・・・」と、前置きをした後で、「わかりました!」と明るい顔で返事する。

「がんばって作ります」

「・・・、よかった。ありがとうございます・・・」

一葉くんはそう言ってほっと息を吐き、静かに、嬉しそうな顔をした。

それを見て、私も嬉しくなってくる。

「・・・では、詳細についてはまた連絡させていただきますので・・・」

「よろしくお願いします!じゃあ・・・、あっ、水谷に連絡すればいいですよね」

緋山くんの発言に、一葉くんは「え」と言って固まった。

その様子を全く気にすることもなく、緋山くんは話を進める。

「水谷、連絡先って変わってない?」

「え?あっ、うん」

「じゃあ、後で俺から一回連絡するわ。あー・・・、一応名刺渡しとくか。SNSとかやってないから、ほんとに連絡先書いてあるだけだけど」

そう言うと、緋山くんは私と一葉くんに名刺を手渡した。

と、そこで、一葉くんが何かを言おうとしたけれど、後ろから「晴人ー!!」という大きな明るい声がして、言葉をゴクンと飲み込んだ。

「わー、マジでいっぱい作ったなー!!すげー」

「おー!みんな来てくれたんだー」

まさに、「緋山くんの友達」という雰囲気の、快活な印象の男性たちが現れた。

総勢6人。全員スポーツをやっていそうな感じがあるし、大学時代の友人かもしれない。

「ほんとすげーな」「俺初めて見た!」など言い合って、盛り上がる男性たち。

内輪のわいわいとした感じになって、私と一葉くんは、遠慮した方がよさそうな雰囲気になる。

「・・・緋山くん、あの・・・、じゃあ、またこちらからも連絡するので」

「おー、ありがとう!一葉さんも、どうもありがとうございました!!」

そう言うと、緋山くんは深々礼をする。

一葉くんも応えるように頭を下げて、私と2人、その場を後にしたのだった。









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