彩度beige
(ここでこう聞くってことは・・・、緋山くんは、私が一葉くんと付き合っているから誘いを断ったんだって、そう思ってるってことだよね・・・?)


ーーー緋山くんは、どうしてそう思ったんだろう。

付き合っている訳ではないけど、いい感じ・・・だとは思ってる。

でも・・・だからといって、久しぶりに再会した、仕事相手で元カレでもある緋山くんに、一葉くんとの今の微妙な関係を話すというのは抵抗がある。

動揺しつつも、なるべく通常モードの返事を送ることにした。

『ううん、付き合ってないよ。どうして?』

『んー・・・、すげえ仲良さそうだったし。普通、水谷の立場なら、一葉さんのこと支配人とか社長とか、せめて一葉さんとか呼ぶだろうって思うけど、水谷は、一葉くんって呼んでたろ。いくらタメで仲良かったとしても、くんづけで呼ぶってもしかしてとは思ってて』


(・・・!!、そ、そうか・・・!)


言われてみれば、当然の違和感かもしれない。

あの時・・・、一葉くんと会場を見て回るのが楽しくて、仕事という認識が薄くなっていたような感覚はある。

しかも、まさかの緋山くんとの再会だったし、「3人みんな同級生」みたいなモードで話をしてしまったような・・・。


(ああ・・・、これ、完全に私がだめなやつ・・・)


一葉くんが支配人で社長だっていうことを、もっと考慮するべきだった。

反省しつつ、元々知り合いだし仲はいいのだけれど、今後は気をつける・・・という内容を書いて送った。

『あー、いや、そこを注意したかったわけじゃなくて笑。一葉さんも気にしてなさそうだったし、それは別にいいんじゃない?ただ、今、俺が誘って断られてさ、なんとなく、もしかして付き合ってるのかなーって思ってさ』

心臓が、ドキ、と反応。

緋山くんがちょっと鋭くなっている。

ベースの性格は変わっていないと思うけど、高校時代の緋山くんは、恋愛における「誰と誰がいい感じ」みたいな感覚が、鈍い方ではあったから。

『まあ、とりあえず一葉さんと付き合ってないのはわかったけど。今、彼氏とかいるの?』


(・・・彼氏・・・)


ーーー彼氏はいない。

一葉くんは彼氏ではないし・・・。

だから、彼氏は今はいないけど・・・。

『彼氏ではないけれど、ちょっといい感じになっている、好きな人はいるよ』

緋山くんの真意はわからないけれど、これだけは伝えた方がいいと思った。

相手が一葉くんだとは言えないけれど・・・、「高校時代の元カレとの再会」なんて、フラグのようにも思うから。
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