日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
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アメリアが熱に浮かされ、苦しそうに首を左右に振った。
苦しいのだろうか?
額に乗せられたハンカチがぬるくなっていることに気づいた俺は、冷たい水にハンカチを沈めてから絞ると、アメリアの額に乗せた。するとアメリアがホッとしたような表情を見せた。
良かった……。
そっとアメリアに視線を落とすと、発熱のため汗を掻き、上気している姿が目に入る。ハッハッと荒い呼吸を繰り返し、首をつたい落ちる汗に、俺の視線は釘付けとなってしまう。アメリアの色っぽく艶めかしい姿に、思わずごくりと喉を鳴らしてしまった。
アメリアがこんなにも苦しんでいるというのに、俺は何て浅ましいんだ。
恥を知れと自分を戒め、煩悩を振り払うように首を振り、ぐッと両手に力を込めた。
アメリアが寝込んで1日が過ぎたが、アメリアが目を覚ますことは無かった。シャルルが脱水にならないようにと、飲水させようとしているが、なかなか上手くいかない様子だ。アメリアの唇の端から水がこぼれ落ちていく。シャルルがそれを拭き取りながら、眉を寄せた。
「アメリア様、少しずつで良いので飲んで下さい」
我が主が苦しむのを見ていられないというように、シャルルの悲痛な声が聞こえてくる。
俺もこんなアメリアを見ていられない。
「早く元気になってくれ。そしてその星をちりばめた藍色の瞳に俺を映してほしい」
俺は懇願するようにアメリアの瞼を親指で撫でた。
アメリアは俺のことをどう思っているのだろうか?
きっとアメリアは俺に関心が無いだろう。
魔王討伐や今回の襲撃の俺の対応をみて、どんなに落胆したことだろう。
頼りなく、情けない夫だと思っただろうか?
ああ……ホントに情けなくて涙が出てくる。
アメリアが俺の側にいるのは王命によるもので、本人の意思では無い。
どうすれば良い?
俺に関心を向けるには、どうすれば良い?
アメリアが自分の意思で俺の側にいたいと思わせるには、どうすれば良い?
少しでも良い……俺を男として意識して欲しい。
少しずつで良いから俺を見て欲しい。