日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。
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王城に着くとすぐにアーサー殿下の執務室へと向かった。扉をノックし入室の許可を取り中に入る。すると大きめの執務机の向こう側にアーサー殿下がいた。アーサー殿下は、こちらに顔を向けること無く、黙々と資料を読み込み、サインをしていた。俺はそんなアーサー殿下の近くにあった出来上がった資料に目を通した。
「ライナー、俺達は不甲斐ないな……」
アーサー殿下が言いたいことは分かっている。資料を見ながら俺は唇を噛みしめた。
「こうして調べると、隣国の動きがよく分かりますね。アザレオン国も、ビアゾナ国もきな臭い動きを見せている。どうしてこれに気づかなかったのだと、思うほどに……俺達の平和ぼけした頭は、目は何を見ていたのだろうと思ってしまいます」
「本当だな。ライナーはこれからどうするつもりだ?」
アーサー殿下にそう聞かれ、一瞬話すのをためらってから口を開いた。
「……俺はとにかく仕事をする。妻は優秀過ぎる。並大抵の努力や結果では、アメリアは振り向いてはくれないだろう。だから俺はアメリアに恥じないように、邁進する……努力するのみなんだ。影達には負けられない」
アーサー殿下に対して、子供の頃の様な口調で話してしまったが、アーサー殿下は気にも留めない様子で頷いた。
「そうか……そうだな。影達に負けていられないよな。影達は俺達を頼りない主だと思っていることだろう。影達が俺達を真の主として認めてくれるよう、邁進しよう」
立ち上がったアーサー殿下が、強い意思を込めて俺を見た。