日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。

「ライナー、今は頼りない俺だが俺についてきてくれ。必ず良き王として、この国を導くと誓う。俺の右腕として俺の隣に立ってほしい」

 そこに立っていたのは平和ぼけして夢を追いかけ、空論と理想を並べていたアーサー殿下では無く、現実をしっかりと見定め、前を向く未来の王の姿だった。俺はアーサー殿下の前に膝を付き、忠誠なる臣下の礼を取った。

「未来の我が王に、忠誠を誓います。俺はあなたについていく。あなたの未来のために、我が妻の未来のために」

 今まで俺も殿下と同じように空論を並べ、出来もしない未来の話をしていた。だがそれは過去の話だ。今は現実を受け止め、未来の先を見る。俺達が間違えば被害を受けるのは民達だ。未来は夢物語では無い。実際にそこにある物で、俺達が歩むべき未来で、守るべき民達もまた俺達の未来だ。

 この国の未来、民の未来、アメリアの未来は俺達の行く先にある。それがどんなに重たかろうが、アーサー殿下と共にそれを背負いトップの隣に立つ。

 君が裏のトップなら、俺達が表のトップになる。

 もう君を落胆させるような姿は見せない。

 俺はそう誓いアーサー殿下を真っ直ぐに見つめた。


 それからの俺は、ともかく仕事に没頭した。アーサー殿下も同じように、仕事に打ち込んでいた。がむしゃらに働く俺達を周囲は心配していた。今までなら心配されれば、そこで仕事量をセーブしていただろう。しかし今は仕事をセーブしている暇など無い。どんなに回りが心配しようが、仕事に集中する。俺達は凡人には無い集中力で仕事をし、1日があっという間に過ぎていった。夜になっても俺達はアーサー殿下の執務室にこもった。あまりにも二人きりで、部屋にこもっているため、変な噂まで立つほどだった。




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