日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。

 しかしそんな事など気にはしていられない。

 アーサー殿下とリリーナ嬢との婚姻式まで後2日と迫った頃、さすがにリリーナ嬢が執務室へとやって来た。

「お二人とも、さすがに仕事のやり過ぎです。部屋からもほとんど出ないなんて、体にも悪いですよ」

 怒りを露わにしているリリーナ嬢に、アーサー殿下がたじろいでいる。こんなアーサー殿下は、あまり見られるものじゃない。

「しかしリリー、今が大事な時なのだ」

「それは私もです。私とアーサー様も大切な時です」

 上目遣いの涙目で、リリーナ嬢がアーサー殿下に訴える。それを見て、少し前の俺なら可愛いと思ったのだろうが、今は特に何も感じない。

「すまないリリー。明日には何とか全てが上手くいくように手配できるから」

「その明日にはっていう台詞も、もう何度目ですか?私達の婚姻式まで後2日ですよ。ほとんど準備が終わっていると言っても、あんまりです」

「すっ……すまないリリー。寂しい思いをさせてしまったね」

 そう言って、アーサー殿下がリリーナ嬢を抱き寄せた。仲睦まじい二人がイチャついているのを見て、俺もアメリアに会いたくなった。

 アメリアは今頃どうしているだろうか?

 俺からの報告書は読んでくれているだろうか?

 俺は……少しは変われただろうか?

 アメリアの役に立てただろうか? 


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