日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。

 影達の返事を合図に、皆が魔王に向かってありったけの魔法攻撃を与える。魔王はギロリと大きな目を見開き、最後の咆哮を上げた。

「ぐがあああぁぁぁぁぁーーーー!!!!こざかしい勇者どもがあ゛あああぁぁぁぁぁーーーー!!!!」

 魔王も最後のあがきと、恐ろしいほどの魔力を解き放ち抵抗を見せる。影達は最後の魔力を使い切り、その場に脱力し座り込んでいた。ライナー様達も同じく、全ての力を使い果たし、地面に膝を付いている。

 皆はもう動く事は出来ないだろう。
 
 ここで私が失敗すれば全滅どころか、世界の終わりだ。

 世界の終わり……そんな事になってたまるか……。

「この世界は私が守ってみせる!!」

 私は聖剣を握る手に力を込めながら地面を強く蹴った。

「強化魔法」

 私は全身に魔法を行き渡らせると魔王を冷静に見極め、聖剣を振り上げた。それを魔王の脳天から突き立て、残っていた自分の魔力を流し込んだ。

「こざかしい小娘が!一度ならず二度までもおぉぉぉぉぉーーー!ぐがあぁぁぁぁーーーー!!!!」

 ズドーンッと地響きが轟き、過度な魔力を流し込まれた魔王は最後の断末魔を上げながら、はじけ飛ぶようにして最後を迎えた。

 これでは再生することは出来ないだろう。

 アメリアの思案は正解だったようで、魔王は再生することが出来ずに、塵となって消えていった。

 終わった……。

 アメリアが安堵の溜め息を付いたとき、後ろから体を抱きしめられた。それと同時に瞳に飛び込んでくるのは、白銀に輝く水色の髪……。

「ライナー様?」

「アメリア……きみが無事で良かった……」

 心底安心したといった様子のライナー様に、私は微笑みかけた。

「お疲れ様でした。討伐完了です」

 それを聞いた影達がハイタッチするのが見えた。アーサー殿下達も嬉しそうに微笑み合っている。

 世界の危機を救うことが出来た安堵から、アメリアはライナー様にもたれかかった。ライナーはそんなアメリアをしっかりと支えたのだった。



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