『春・夏・秋・冬~巡る季節』
冬の誕生日は、ちょうど聖夜の日。
クリスマスパーティも兼ねて、盛大にやろうって、みんなで話してた。
──1年前は、叶わなかったことだけど。
首に巻いたマフラーで口元を隠し、冷たい風に身を竦めながら“冬のトコロ”へ向かう。
ちょうど一ヶ月前、訪れた場所。
あの時は、真っ黒の礼服で、神妙な面持ちでやってきたのだけど。
今日は、真っ白なコートを着てみた。
2年前に買ったこのステンカラーコートは、冬に「かわいいね」って、褒めてもらったもの。
あの時は……こんなことになるなんて、想像もつかなかったな。
まだ淡い想いが形になり始めたくらいの、2年前の冬。
それが今は、深くこの胸に刻まれて、苦しいくらい強い想いに変化している。
冬が消えてしまった今も、ずっと……。
ブーツをコツコツ鳴らしながら歩いていくと、後ろから私のとは別の、ヒールの音が足早に近づいてきた。
「秋!」
振り返るのと同時に、元気な声が耳に届く。
「春!」
思い切り手を振りながら駆け寄ってくる親友の姿に、私も手を振り返した。
クリスマスパーティも兼ねて、盛大にやろうって、みんなで話してた。
──1年前は、叶わなかったことだけど。
首に巻いたマフラーで口元を隠し、冷たい風に身を竦めながら“冬のトコロ”へ向かう。
ちょうど一ヶ月前、訪れた場所。
あの時は、真っ黒の礼服で、神妙な面持ちでやってきたのだけど。
今日は、真っ白なコートを着てみた。
2年前に買ったこのステンカラーコートは、冬に「かわいいね」って、褒めてもらったもの。
あの時は……こんなことになるなんて、想像もつかなかったな。
まだ淡い想いが形になり始めたくらいの、2年前の冬。
それが今は、深くこの胸に刻まれて、苦しいくらい強い想いに変化している。
冬が消えてしまった今も、ずっと……。
ブーツをコツコツ鳴らしながら歩いていくと、後ろから私のとは別の、ヒールの音が足早に近づいてきた。
「秋!」
振り返るのと同時に、元気な声が耳に届く。
「春!」
思い切り手を振りながら駆け寄ってくる親友の姿に、私も手を振り返した。