『春・夏・秋・冬~巡る季節』
「久しぶり、秋ー!」

ギュッと抱きつかれて、春より背の低い私は後ろによろける。

「春、久しぶり……」

私も抱き返した後、春を見上げてギョッとした。

彼女の目には、いっぱいの涙が浮かんでいたから……。

「春?」

「あはは、ごめんごめん、だって久しぶりなんだもん……冬の一周忌にも、来なかったしさ」

「……ごめんね?」

あの時はまだ、みんなに逢えなかったの。

いつまでも落ち込んで、自分だけ不幸な顔をしている私を見せたくなかったから……1人で、こっそりお参りに来たんだ。

「ううん……逢いたかったよ、秋」

人差し指で目の淵を拭いながら、春は笑う。

「……うん、私も、逢いたかったよ……」

つられて涙を浮かべ、私も微笑んだ。

それから並んで冬のトコロへ向かう。

「夏はもう来てるのかな?」

白い息を吐き出しながら、春が言う。

「うん、時間に正確な人だから……来てるんじゃないかな?」

「言いだしっぺだしね。こんな寒空の下で誕生パーティやろうなんて、夏の考えそうなことだよ」

「と、言いつつ、その手に持つものは……」

春の手には、大きな白い箱が握られていた。

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