敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「知ってます。一生懸命名前を呼ぶ香澄さんが可愛すぎて、返事したくなったんです」
 優しく目元を笑ませた神代はふわりと柔らかく香澄の唇と自分の唇を重ねる。

 香澄はいつも神代と触れ合うと胸がどきどきする。唇が重なるだけでもこんなに胸がきゅんとするものだとは思わなかったのだ。前と同じように緩く唇を舌でなぞられてそっと口を開く。

「……っ、はっ、神代……さん」
 こらえきれない吐息のような声が漏れる。
「違うでしょう?」
 甘く耳元で囁かれて香澄は背中をぞくりとさせた。

 香澄は熱っぽく潤んだ瞳で神代を見つめることしかできない。
(違う……? 違うってどういうこと?)
 蕩けそうな頭の中で言われた意味を一生懸命に香澄は考える。名前だろうか?

「佳祐……さん?」
 ぎゅうっと強く身体が抱かれたような気がした。
「思ったよりきました。香澄さん……たまらない」

 また唇が重なる。
 吐息すら甘く熱を持っているような気がした。香澄の口の中に侵入してきた舌に蹂躙されるように舐めつくされ、香澄は歯の裏まで感じるところがあるということを初めて知ったのだった。

 口の中をあますとこなく舐め尽くされているうちに、香澄はだんだん呼吸が苦しくなってくる。

「んっ……んーっ」
 軽く身動ぎすると、やっと神代が離れてくれた。
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