敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「……はっ、ぷは……」
 まるで、水から上がった人のようになってしまった。そんな香澄を見て、神代が頬を指で撫でながらくすくす笑う。

「鼻で息をするんですよ」
「あの……でも鼻で呼吸していても、そのすごく息が……」
 はあはあしてしまって、荒くなって恥ずかしいのだ。

「ん? 呼吸が乱れる?」
「そう、そうです!」
「その乱れた呼吸がいいんですけどね。いつもふわふわしている香澄さんが徐々に呼吸を乱していくさまが堪らないんです」

 くらくらする。香澄には初めての経験でキスだけでもいっぱいいっぱいだ。
「あの……でも舌もいっぱい絡まってしまって……」
「もっとする?」

 ぺろっと神代が唇を舐めたのを見て、香澄は真っ赤になるしかなかった。
「香澄さん……」
 ふわりと神代が香澄の両頬を手で包み込む。
「まだまだこんなものじゃないですよ?」

 整いすぎた神代の顔がくっつきそうなくらいに近い。
 香澄の頬を掠めた唇は軽く口付けして、フェイスラインから耳へと移ってゆく。

 神代が耳を軽く舐めた感触がして、その穴を音がするほどに舐られた。
 淫猥な水音が耳を覆って、ぞくぞくっと背中から腰にかけて甘い電流のようなものが流れる。

 香澄はぎゅうっと神代の上着を握りしめてしまった。
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