敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
(こんな人が私の恋人なんて、素敵すぎる)

 神代にしてみれば大事な恋人の初めてなのだ。絶対に大事な思い出にしたかった。
(もう、佳祐さんしかダメって思わせたいからな)

 香澄は神代がまさかそんなことを考えているとは知らず(佳祐さん、優しい……)と心の中で喜んでいたのだった。

 幸せなすれ違いである。


 神代は香澄のこめかみにキスをする。
「そろそろお送りします。ご両親が心配してもいけない。汗とかかいていますよね。どうぞ、バスルームを使ってください」

 ベッドから起き上がった神代は香澄にクローゼットからバスローブを出してきてそっと着せかけた。
 自分もTシャツを出してきて着ている。

 もっと一緒にいたい。
 好きな人とだとこんな気持ちになるのだとふわふわとした心地の中に香澄はいた。

「立てない? 一緒にシャワーしますか?」
 微笑みながらそんな風に言われて、顔を近づけられると香澄は真っ赤になってしまう。

「だ、大丈夫ですっ!」
「本当ですか? 残念だな」
 それでも手を差しだしてくれた神代に素直に甘えてベッドから立たせてもらう。

「バスルームはこっちです」
 案内してくれる神代について香澄はバスルームに向かう。向かう途中でくるっと神代が振り返った。
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