敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
香澄が神代に捧げたいものはその真心だった。
* * *
「社長、柚木さんから封書がきています」
今度こそ高村は開封せずに神代のところに封筒を持ってきた。
「ありがとうございます」
受け取る時のCEOのご機嫌な声も相変わらずで、上手くいっているのだなと微笑ましい。
「やり手と呼ばれるCEOをこんな顔にさせてしまう柚木さんという女性にぜひとも一度お会いしたいですね」
「結婚するのだから、今後何かの時に顔を合わせることもあると思いますよ」
高村の発言には神代はにっこりと笑顔で返した。そうそう大事な香澄を見せびらかすわけにはいかない。
神代は受けとった手紙に丁寧にはさみを入れたあと、ペーパーナイフで開封した。
「前のお手紙はどうされたんですか?」
高村が聞くと、神代はスーツの内ポケットから以前香澄から送られてきた手紙を取り出す。
「え? 持ち歩いているんですか?」
(そこは引くところじゃないよな?)
高村の微妙な表情を神代は見なかったことにした。
「なんとなく側においておきたくて」
「シワになりますよ? スーツでは擦れたりしそうですし」
しばらく考えて、その場を離れた高村はビニールポケットのついたクリアフォルダ―を持って戻ってきた。
* * *
「社長、柚木さんから封書がきています」
今度こそ高村は開封せずに神代のところに封筒を持ってきた。
「ありがとうございます」
受け取る時のCEOのご機嫌な声も相変わらずで、上手くいっているのだなと微笑ましい。
「やり手と呼ばれるCEOをこんな顔にさせてしまう柚木さんという女性にぜひとも一度お会いしたいですね」
「結婚するのだから、今後何かの時に顔を合わせることもあると思いますよ」
高村の発言には神代はにっこりと笑顔で返した。そうそう大事な香澄を見せびらかすわけにはいかない。
神代は受けとった手紙に丁寧にはさみを入れたあと、ペーパーナイフで開封した。
「前のお手紙はどうされたんですか?」
高村が聞くと、神代はスーツの内ポケットから以前香澄から送られてきた手紙を取り出す。
「え? 持ち歩いているんですか?」
(そこは引くところじゃないよな?)
高村の微妙な表情を神代は見なかったことにした。
「なんとなく側においておきたくて」
「シワになりますよ? スーツでは擦れたりしそうですし」
しばらく考えて、その場を離れた高村はビニールポケットのついたクリアフォルダ―を持って戻ってきた。