敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 本当に今回のように伯父が強引にでもお見合いをさせなければ確かに恋愛すらすることはなかったのだろう。
 偶然ではあるが今回は伯父にも功績がなかったとは言えない。

 きっと親にだって孫が見たいとか夢があったと思うのに、今まで香澄を急かすようなことは一度もしなかったのだ。とても優しい両親に、香澄は感謝していた。


 ピンポーンと玄関で呼び鈴が鳴って「はーい」と確認した母が香澄を玄関へと連れてゆく。
「こんにちは」

 玄関に姿を見せた神代は言葉をなくしていた。
「香澄さん……すごく綺麗です」
「ありがとうございます」

「ではお預かりいたします」
 母に向かって神代が頭を下げる。母も神代に頭を下げた。
「よろしくお願いいたします」
「香澄さん、お手をどうぞ」

 王子様のような神代にまるでお姫様のように扱われて、香澄は頬が熱くなるのを感じた。
 それでも着物の際に履く草履はパンプスより歩きにくいのも確かなので、そっと手を重ねさせてもらって借りることにした。

 招待状からすでにカーナビには行き先が登録してあり、神代はスムーズに運転していく。

「今日は友人が出品しているので、招待していただいたんです」
「そうなんですね」
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