敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「写真と雰囲気が違いますね」
 それはそうだろう。別人なのだから。
「けど、今日の方が好きだな」

 さらりと好きと告げられてしまって、もう香澄はどうしたらいいのか分からなくなる。
 口を開きかけるとそこへ音楽が流れてきた。映画の主題歌としても有名な曲だ。

「この映画、見ました?」
「いえ……見たかったんですけど」
 特に行く機会もなく逃してしまった。

「見逃した?」
 くすくすと楽しそうに神代は笑っている。だから安心して香澄も話すことができた。

「ええ。でも音楽は知ってます」
「俺も一緒。見逃してDVDを買って、それすら観なくて積んでるってのがたくさんある」

 香澄も一緒だ。DVDのリリースのニュースを見て、もう発売されてるといつも驚いている。

「私も映画館で観たいものはあるんですけど」
「今度、一緒に行きますか? ほら、約束したら絶対観るでしょう?」


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