敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 先ほどの態度を見ていたら神代にはとてもそうは見えず、思わずじっと清柊を見てしまった。

 清柊は柔らかい雰囲気で苦笑する。
「本当ですよ。できれば自分がその立場になりたかったですけどね」

「なるほど。呼ばれたのは横恋慕の宣言というわけですか」
 苦笑して清柊は横に首を振る。

「まさか。そんなことはしませんよ。神代さんのような方には勝てないと分かっていますから」
 にっこりと微笑む清柊はとても感じは良いが、本当のところどう思っているか分からないところがある。

 なにせもがいているのが美しいとか言い出すような人だ。
「私は神代さんには柚木さんの書道を応援される気持ちがあるのか、賛成しかねる気持ちがあるのか図りたかっただけですよ。心から柚木さんの幸せを祈っています」

「それならばご安心ください」
 妙なことを心配されても困ると、神代はすかさず言った。

「香澄さんが書道をされることについては賛同し応援しています。それに俺は書いている彼女にも惹かれていますから、反対するようなことはしないです。彼女を幸せにすることも約束しますよ」

「そうですか。聞きたかったことはそれだけです」
 にこりと感じ良く笑った清柊は心配そうに神代たちを見ている香澄を指さした。
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