敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
15.雨降って地固まる
 確かにそれは苦しかったけれど、香澄に幸せももたらしていた。
 ──ひとつに、なれた……。

 香澄はぎゅっと神代の背を抱く。
「香澄さん、とても大好きだ。これほど愛おしい人はいませんよ」

 とても近くで神代の端正で綺麗な顔に微笑まれて、香澄も一生懸命笑みを返す。
 榛色の瞳はこんな時ですら柔らかく香澄を見つめていた。

「私も大好きです」
 その香澄の声を聞いて、神代は身体を一気に奥まで押し進めた。

「きゃ……んっ……」
「動きますよ」

 神代が身体を揺するたびに密着した下肢から肌同士の打擲音やぬかるみを掻き回す水音が聞こえてくる。熱くて固いもので奥を抉られて、香澄は背中を反らせた。

 中が強くうねって、神代の質量をしっかりと感じる。
 その宣言通りにだんだんと動きが激しくなっていって、その度に何度も奥を強く突かれ、まるで香澄の目の前を星が飛び散ったかのような感覚に包まれた時、香澄の中の熱杭がびくびくっと脈打ったのが分かった。

 今の香澄には、その脈打つ動きすら刺激になり、またさざなみのようなうねりに押し上げられる。
 吐精した神代は荒くなった息を整え、香澄のこめかみにキスを落とす。

「大丈夫ですか?」
「は……い……」
 香澄はまだぼうっとしていた。
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