敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 光を受けても反射しそうなくらい真っ白な肌と光に当たってキラキラと透ける榛色の髪はまるで天使のようで、宗教画から出てきたかのようだった。

 その美しさは神秘的ですらあった。
 目を閉じているとまつ毛がとても長いことが分かる。
(本当に綺麗……)

 その時神代の目がぱちっと開いて、じっと見つめていた香澄とばっちり目があってしまった。
「そんなに見てたら穴が空きそう」
「きゃーっ!」

 思わず香澄は両手で顔を隠す。
 瞬間湯沸かし器のようにいきなり真っ赤になった自覚がある。

 ──いきなり目を開けるなんてずるい!

「あはは、本当に可愛いですね」
 起き上がった神代にそっと抱きしめられて、赤くなった耳にも軽くキスをされる。

 神代は半裸の状態でも全然平気のようだ。
 香澄は触れ合う肌が恥ずかしくて、胸元をそっと布団で隠した。

「恥ずかしい?」
「はい……」
 こくっと頷く。

「恥じらっているのもたまらないんですよね」
 布団の上からぎゅうっと抱きしめられた。
 とても甘い時間だ。
 ちゅ、と頬にキスを贈られて「ここでいつまでもだらっとしていたいんですけど、そろそろ起きましょうか」と囁かれる。

「そうしましょう」
 香澄は優しい感触に酔いながら同意した。
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