敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「受賞作品は国立美術館で展示されたのち他の都市でも展示されます。その展覧会が終わった後は授賞式ですね。ちなみに授賞式は出品された方、会員、招待された議員や後援の会社の方がご出席なので、ご主人がご参加されるのは難しいですね」

 神代はにこっと笑って清柊に声をかける。
「なるほど……では、今後後援の会社候補のCEOってどうなんでしょうね?」

 清柊も笑顔を返した。
「神代ホールディングスが後援いただけるということでしょうか? 素晴らしいですね。のちほど会派の会長にお声をかけさせていただきましょう。招待状をお送りいたします」
「ぜひ」


 ──今、一瞬でなにか取引があった気がするけれども、気のせいかしら?
 目の前で交わされている神代と清柊の会話を聞きながら香澄は笑顔で首を傾げる。

「あの……そんなこと決めてしまって大丈夫なんですか?」
「ええ。日本の文化への協力も業務の一環ですから。寄付活動や奨学金などそういう活動もいろいろしていますよ」

 神代は笑顔でそう答えた。それを聞いてなるほど、と香澄は感心する。

「今後、文化の保護に関しても力を入れていけたらいいですね。香澄さん、もちろんご協力してくださいね」
「もし、お役に立てるのでしたらぜひ!」
 うんうん、と神代は頷いている。
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