敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 神代がいつも素直に褒めてくれるので、香澄も素直にいろんなことを言葉にできるようになっていた。思えば、神代は最初からそうだったかもしれない。

「どうぞ」
 澄ました感じで神代が腕を差し出すので、香澄はふふっと笑ってそっと肘に指先を添えることができたのだった。

 中に入るとレセプションがあり、席に案内してくれる。
 神代は窓際の席を予約してくれていたようで、二人は庭がよく見える窓際の席に案内された。

「ここはメニューがなくて、おすすめのシェフのコースのみなんですが……」
 席に座るとアレルギーや苦手なものはございませんか? とギャルソンに聞かれ、香澄はないですと答えた。

 フレンチの高級そうなお店に案内されたものの、メニューの見方も分からなかったらどうしようかと香澄が不安に思っていたところ、神代がそのように言ってくれたから安心だ。

「そうなんですね」
 とはいえ目の前にはメニューらしきものがある。
「ワインでお好きなものはありますか?」

 神代が手にしているのはメニューではなくてワインリストのようだった。
 聞かれたところでワインについては香澄はあまり詳しくない。

「ごめんなさい。ワインについてはあまり詳しくなくて。神代さんにお任せしていいですか?」
< 42 / 196 >

この作品をシェア

pagetop