敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
5.書道家の仕事
「展覧会?」
「はい。神代さんは書道家としてのお仕事ってどんなものをご想像されていますか?」

 神代は少し考える様子を見せた。
 正直書道家の仕事内容などあまりピンと来ないのではないかと香澄は推測する。

「うーん、書道家、と聞くと大きな畳のような紙に箒のような筆でがっと字を書いていたりすることでしょうか? あとはやはり書道教室など? 発想が貧困ですね。すみません」

 一般的な知識はそんなものだろうと思っているので香澄は驚いたりはしない。こくこくと頷いた。

「ええ。一般的にはそのようなものだと思います。それも間違ってはいないです。実際に書道を広めるために書道パフォーマンスなども行いますよ」
 にこりと笑って香澄はそう返す。

「え? 本当なのですか? 袴で?」
「ああ、パフォーマンスの時は袴でもしますね」
「見たいです」

 あまりのレスポンスの早さに香澄は驚く。
(そ、即答?)
 と言うよりもなぜ神代はこんなに前のめりなのだろう。

 しかし残念ながら今のところ書道パフォーマンスの予定は入っていない。
 あくまでも仕事の一例であるだけだ。

「すみません。今のところ書道パフォーマンスの予定は入っていないのです」
「そうなんですか」

 神代がとてもがっくりした様子なのがかわいそうなくらいだ。
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